昨日の東京新聞に志賀先生の訃報記事が掲載されています。
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【東京新聞】[私説・論説室から]彼の遺志を生かさねば
2016年1月27日//www.tokyo-np.co.jp/…/column/…/CK2016012702000136.html
「去る十二月八日に日本記者クラブで公表させていただいた民間税調の税制改正大綱は、ある方の遺言となりました」
昨年末に届いた悲報。後頭部をぶん殴られたような衝撃を受けた。同時に故人の無念さを思うとやりきれない気持ちになった。
民間税調は政府・与党とは異なる立場から国民のための税制を訴えた。消費税、法人税、所得税、資産税それぞれに具体的に提言したが、通底するのは弱者に配慮し、税が本来持つ再分配機能を強化することだった。
市民参加の公開討論を重ね、一年がかりでまとめられた。議論を引っ張った彼は、時に病院から駆けつけたと悲報にはあった。だが集大成の発表の席に、彼の姿はなかった。
志賀櫻弁護士(元大蔵省主税局国際租税課長)。タックスヘイブン(租税回避地)問題の第一人者であり、官僚組織にいた経験から税金や予算などに群がるシロアリの悪行も鋭く指弾してきた。まだ六十六歳だった。
上野近くの弁護士事務所で話を聞いたことがある。「税は文明の対価である」という米国最高裁判事の言葉を引き、「納税者には、その対価としての文明が引き渡されなければならない。しかし税逃れをしている者、税を食い物にしている者たちがいて、目に見えないところで文明を破壊している」。正義感の塊のような、そして心優しい人だった。
まだまだ議論していたかった。 (久原穏)
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