毎日新聞2018.03.13夕刊に「牧太郎の大きな声では言えないが…:消費増税より「解雇税」を!」という記事がありました。下記のようなことを指摘されています。
1989年、つまり平成元年4月、消費税が導入された。この時、僕は深刻な「経済格差」を予感していた。
消費税が導入された89年度と2016年度の税収構造を比べてみよう。税収は共に55兆円程度。だが、税収構成がガラリと変わり、消費税が約14兆円も増え、その一方で、法人税が約8兆円も減り、所得税も約4兆円減った。法人税率が引き下げられ、富裕層の金融資産所得に対する「低い税率」はそのまま。庶民から満遍なく消費税が徴収され、その結果、経済格差は大きくなった。
平成は「非正規労働の時代」でもある。正社員が大幅に減った。
経営者は人件費を安くしようと、本来、正規雇用すべき仕事を非正規雇用で済まそうとする。これを是正しようと、13年4月施行された「改正労働契約法」は「有期雇用の労働者が同じ企業で通算5年を超えて働くと、本人が希望すれば、無期雇用に切り替えられる」と定めた。「正規雇用」になれるチャンスである。
しかし、そうは問屋が卸さない。この「無期転換ルール」が適用される「18年4月」を前に、人件費を安く済まそうとする企業が「非正規」を解雇している。「雇い止め」である。
「解雇税」を導入したらどうだろう?
英文学・学説史の赤木昭夫・元慶応大教授によると、14年のノーベル経済学賞受賞者、フランス人のジャン・ティロール氏は近く日本語版が刊行される「公共の善のための経済学」(仮題)の中で「解雇による被害者が被害者同士で助け合うのではなくて、解雇する加害者が応分の補償、解雇税(レイオフ・タックス)を差し出すべきだ」と主張しているらしい。
これには、フランスの特殊事情が存在する。フランスでは試用期間の4カ月後、失業すると(解雇されると)2年間にわたり、所得の72・1%の失業保険金が支給される。そこで、雇う側と雇われる側が納得ずくで、これを悪用して、不当に?保険金を手に入れる。ノーベル賞学者はこれを防ぐため、雇う側に「解雇税」を課すべきだ!と主張している。
日本で「雇い止め」が頻発するなら、「解雇税」を考えたらどうだろう。昨今の政治はあまりに「企業寄り」だから。(客員編集委員)
最後の一行は同感です。