エコノミスト第95巻第39号通巻4520号(2017.10.10)67頁によると、アメリカのバーニー・サンダース米上院議員(無所属)は9月13日、民間医療保険や企業の従業員向け医療保険を廃止し、代わって連邦政府が徴収した税金で医療費を支払う国民皆保険「単一支払者制度」を創設する法案を発表したそうだ。
この案に対する批判もあり、次のような点も指摘されている。いろいろな問題が見えてきますね。
保守派シンクタンクであるケイトー研究所のマイケル・タナー上席研究員は9月14日付の『ニューヨーク・ポスト』紙に寄稿した。「サンダース氏の案は、歯科治療や視力矯正が含まれるなど、メディケアよりかなり被保険者に有利だ。事実、(政府が運営する医療保険のなかで比較的行き届いた)カナダのものより優れている。しかも保険料は無料で、受診料も患者自己負担もない。欠点があるだろうか」と、一見長所ばかりのようだ。 ◇重視するのは市場か福祉か シンクタンク「フーバー研究所」のランヒー・チェン研究員らは9月19日付の『ニューヨーク・タイムズ』紙で、「他国で医療が成果を出せるのは、医療支出が効率的だからではない」と指摘した。米国は1人当たりの医療支出が世界一高いものの、「医療支出に社会福祉支出を加えた『健康関連支出』で比較すれば、米国は突出していない。日本や英国は医療支出が高騰中であり、米国で単一支払者制度は最適ではない」と主張した。 |