わりと楽観的な記事ですね。都の負担額7200億円。
競技会場の建設など開幕前に一定の経済効果は見られたものの、無観客による損失は約1500億円と言われています。収支報告が出るまでは時間がかかるとは思いますが、赤字を税金によって「穴埋め」する必要性は十分考えられますし、住民税などが上がる可能性も否定できません。
もちろん、五輪だけが“悪者”ではなく、緊急事態宣言と切り離すことはできないでしょう。4回目の宣言による経済損失は2兆円以上とも試算されています。もし宣言がなければ、無観客開催であっても「五輪開催中の東京の空気を感じたい、競技場の近くに行ってみたい」と、東京に来る人が数多くいたはず。その人たちの消費がなくなったのは大きいと思います。
日本は近年、インバウンドを経済発展の要とし、五輪をその起爆剤として考えていました。それだけに、無観客開催はその効果がゼロになったどころか、投資をしたぶん、マイナスとなってしまいました。ただ、大会では選手がSNSで東京の魅力を発信してくれましたし、大会そのものは盛り上がったといえます。その「レガシー」をコロナ禍の収束以降、海外にどうアピールしていくか考える必要があります。
ただ、身近なところではプラス面もありました。まず、大型テレビなど電化製品の購入が増えたこと。五輪に関係なくテレビを買い替えようとしていた知人が「売り切ればかりで全く買えない」と嘆いていました。五輪のチケットはかなり高額だったので、その分の予算を回したという人が多かったようですね。
また、日本勢が活躍した競技の商品の伸びも見られています。特にスケートボード関連が大きいですね。今年始まったスケボーがテーマのアニメ「SK∞エスケーエイト」で潜在的な認知度が上がっているところに、五輪がさらに後押しして消費に好影響を与えたとみています。
◆横川 楓(よこかわ・かえで)1990年8月13日生まれ。30歳。明治大法学部、同大大学院を経て経営学修士(MBA)、ファイナンシャルプランナー(AFP)取得。