最高裁が、7月17日の判決でデラウエア州の法律に基づいて設立されたリミッテド・パートナーシップは外国法人にはあたらないとして、不動産所得の損益通算を認めた高裁判決を覆しましたね。
外国法に基づいて設立された組織体が所得税法2条1項7号等に定める外国法人に該当するか否かを判断するに当たっては,まず,
①当該組織体に係る設立根拠法令の規定の文言や法制の仕組みから,当該組織体が当該外国の法令において日本法上の法人に相当する法的地位を付与されていること又は付与されていないことが疑義のない程度に明白であるか否かを検討することとなり,これができない場合には,次に,当該組織体の属性に係る観点として,
②当該組織体が権利義務の帰属主体であると認められるか否かを検討して判断すべきものであり,具体的には,当該組織体の設立根拠法令の規定の内容や趣旨等から,当該組織体が自ら法律行為の当事者となることができ,かつ,その法律効果が当該組織体に帰属すると認められるか否かという点を検討することとなるものと解される、といいます。
重要視したのは、法形式よりも、「我が国においては,ある組織体が権利義務の帰属主体とされることが法人の最も本質的な属性であ」るとして、当該組織がある法理行為を行うことが可能か、その効果の帰属主体になっているか、という点でした。デラウエア州のこの組織はまさにそのようなものであると認定して、不動産所得の損失の控除を否定したことになります。