いったん公共が買い取ってから、民間に販売するそうです。ランドロンダリング、とでもいうのでしょうかね。
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滞納物件を公売に。買う人がいるのだろうか?
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実刑判決に期待を寄せる社説。
社説:暴力団の上納金に課税 資金源断つ手立てさらに
2018.07.26 毎日新聞東京朝刊資金源を獲得するための暴力団の生命線である「上納金」のシステムを突き崩すきっかけになるのか。
北九州市に本部のある「工藤会」トップの総裁に対し、福岡地裁が所得税法違反で実刑を言い渡した。
工藤会に入った上納金から得た約8億1000万円を総裁の所得とみなし、約3億2000万円を脱税したと地裁は認定した。これまで捜査のメスが入りにくかった上納金をめぐって、トップの刑事責任が認められた意義は大きい。
上納金は暴力団特有のシステムだ。組の運営費として、下部組織などから集められる。その原資は、「みかじめ料」名目で民間業者や飲食店などから吸い上げた不正な資金だ。年間にすれば億単位の金が集まるというが、多くは現金でやりとりされ、実態の把握は難しかった。
任意団体である暴力団の運営のために集められた上納金は「会費」と同じ扱いで課税対象にはなってこなかった。今回、警察は金庫番が残した詳細な出入金記録を入手した。
国税当局とも協議し、大半をトップらが私的に消費していた実態をつかんだ。判決も不正蓄財そのものだとして、課税の正当性を認めた。
判決で認定された上納金徴収の仕組みは大胆だ。工藤会は建設業者から主に金銭を受け取っていたが、工事代金に応じて、「10億円未満の場合は3%」などと具体的に数字を決めていた。暴力団の「威光」を背景に、いや応なく取り立てていたことがうかがえる。
工藤会は近年、市民や企業関係者に平然と銃口を向けてきた。企業などが暴力団と距離を置き始めたことへの報復とみられている。悪質な組織の壊滅に向け、さらに警察は全力を挙げなければならない。
上納金をめぐる他の暴力団の実態はどうだろうか。警察と国税が連携を強めれば、今回のように資金の流れをつかむことが可能なのではないか。上納金の闇に、さらに風穴を開けてもらいたい。
暴力団への利益供与などを禁じる暴力団排除条例が全都道府県で施行されている。それでも上納金の仕組みはなくならない。支払う側の意識も問われる。もちろん、市民の側の恐怖を拭うには、警察が市民を守るために万全を期すことが重要だ。
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判決が下りました。個人への帰属を認定し、実刑判決です。関係者はホッとしたと思います。
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金庫番は保釈したそうです。判決は7月の予定。
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弁護側の最終弁論では無罪の主張だそうです。証言拒否で苦しいところですが、裁判所はどういう認定をするか?
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私(三木)の書いたもの「暴力団と税」もアップしておきました。
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- 朝日新聞の報道によると、訴訟では証言拒否がなされているようです。暴力団に屈して良いのかという正論と、家族を警察が保護してくれるのかという現実論があり、私にはどちらももっともとしか思えません。
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2017年12月27日 朝刊 2社会 (法廷 工藤会事件)みかじめ料関連の証言、拒否 ゼネコン社員「危害及ぶおそれ」【西部】
指定暴力団工藤会(北九州市)の「上納金」を巡る脱税事件で、所得税法違反の罪に問われた工藤会トップで総裁の野村悟被告(71)ら2人の第9回公判が26日、福岡地裁(足立勉裁判長)であった。ゼネコン社員の男性2人が証人尋問に出たが、みかじめ料に関する証言を拒んだ。
2人の会社名や氏名は秘匿決定され、別室からモニターを通じて証言した。工藤会側へのみかじめ料について尋ねられた2人は「答えられない」と拒否。その理由として「私や家族、会社の社員に危害が及ぶおそれがある」と述べた。
うち1人は、ゼネコンの顧問弁護士と打ち合わせをし、証言を拒否する前提で想定問答を作成。そのうえで公判に臨んだことを明らかにした。会社からの指示は否定した。
足立裁判長は、証言を拒めば過料が科されることもあると説明したが、2人とも応じなかった。25日の公判では、証言を拒んだ工藤会幹部に対して地裁は過料5万円を科したが、この日の公判では科さなかった。
証人尋問では、2人が事情聴取で答えた調書の一部を検察側が明らかにした。それによると2人は「北九州地区の工事を受注した際、工藤会関係者とみられる人物から『あいさつがない』などと言われ、2006年1月ごろに工藤会を名乗る男に2千万円を支払った」などと話したという。 - ********************(以下は2017年8月3日)*****************
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毎日新聞の報道によると、特定危険指定暴力団「工藤会」(北九州市)のトップの野村被告は元漁協組合長射殺事件などで逮捕・起訴されているが、脱税事件だけが分離して公判開始されるそうだ。被告は無罪を主張する方針という。暴力団特有の上納金システムを組長個人の所得分もあったとして所得税法違反で問うのは全国初で「暴力団マネー」の実態がどこまで解明されるのか注目される、と同紙は指摘。確かに、上納金破壊の運営費かそれとも個人の所得かは認定が難しく、これまでは避けられてきた問題です。この機会に一歩踏み込む判断がなされることを期待しましょう。
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- ついに課税しましたね。朝日等が報道しています。 昨晩あたりからマスコミが騒がしかったのです。 私も昔京都新聞に書き、このHPにも論点を掲載しています。ご覧ください。 今日の日経には『上納金は暴力団組員が組織の名称を使い、「縄張り」にしている地域の飲食店や風俗店から「みかじめ料」などとして徴収した金銭。組員が毎月納め、組織運営を支える資金基盤とされる。捜査関係者によると、野村容疑者は上納金の一部を自身や知人の生活費にも充てていた』と記載されており、個人の所得として消費されていることをつかんだようですね。逆に、あくまでも会の運営費だけに使われていることが反証されると、個人所得に当たる約2億2700万円を隠して所得税約8800万円を免れた所得税法違反(脱税)の主張が危うくなるのですが、まずそういうことはないでしょうね。
- 今日の毎日の続報を読むと、会長は明確な個人所得については申告していたようです。そうすると会長の個人的支出はそこから出していたはず。上納金はあくまで「工藤会」というサークル活動のための預かり金で、会のためにしか使っていなかった、という反論がなされるでしょうね。そうすると会員のお金を預かって、サークル活動のために使っただけですので、個人所得税の脱税というのは難しくなります。ところで、この工藤会というのは法人ではありませんよね。それでは人格なき社団といえるものなのか。もうしそうなら、この上納金に関わる活動を収益事業として課税できるか、という問題もでてきます。ただ、社団といえるためには、会が「民主的に運営」されていなければならないので、まず無理でしょうね~。
- その後も、暴力団と課税の問題について、いろいろ質問が寄せられています。西日本新聞の下記記事は課税の難しさを上手く表現しています。
上納金の仕組みには暴力団組織の本質が宿るといえる。暴力を背景とした組織の看板で活動して資金を得た組員らが毎月定額を組織に納める。そこには飲食店や建設業者などから取り立てたみかじめ料をはじめ、各種犯罪の収益も含まれる-と警察はみている。こうしたカネの流れを絶つことが暴力団対策の決め手になる。そう指摘されてきた。だが、実際は一筋縄ではいかない。カネのやりとりは現金が中心で、領収書や帳簿が残ることもない。実態を正確に把握するのが困難だからだ。 そうですね。現金商売ですね。証拠をつかみにくいし、通常の税務調査も怖くてできませんよね。組長がみかじめ料を組員に支給した場合、これは個人的贈与か、それとも給与か、利益の分け前か、によって、組員の課税関係も分けれますね。組員の生活実態は、平成5年時のものですが、警察白書の記載があります。なかなか生活は厳しいようです。なお、みかじめ料を支払った事業主は、これを経費にできないことは判例上確立しています。このような、考えれば考えるほど問題点が出てきますね。暴力団というものの存在を前提にした課税制度がないからですが、そりゃそうですよね~。
- 京都新聞が社説で今回の意義をたたえ、他の暴力団組織にも広げていくことを求めています。暴力団組織の中には、法人化しているところもありますね。備品リース業などを展開し、みかじめ料ではなく、リース料金をいただくのも一つの手かもしれません。実際には、不動産業などが多いようです。法人が法人として脱税をすれば、法人の代表等を脱税で逮捕できますね。逮捕された事例はあります。2010年1月23日の読売の報道では次のように報道されたそうです。
ビル転売で8億円脱税、暴力団組長ら逮捕(読売新聞)
東京・銀座のビル転売を巡り、東京都港区の不動産会社「湊開発」が法人所得約26億7000万円を隠し、法人税約8億円を脱税した疑いが強まったとして、東京地検特捜部は20日、同社を実質経営する指定暴力団稲川会系組長中村富夫こと張富夫(60)、同社代表取締役坂元秀之(53)の両容疑者を法人税法違反容疑で逮捕、東京国税局と共に関係先を捜索した。法人税法では「法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者でその違反行為をした者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」(159条)とされていますし、法人にも罰金刑を科します(163条)
- 暴力団の脱税方法としては、マネーロンダリングが、国際的に問題となっています。2003年から8年にかけていろいろと騒がれた五菱会事件が思い出されます。詳しくは志賀櫻氏の『タック・ヘイブン』(岩波新書)一二九頁以下、及びインターネットでは『裏』に詳しい人が書かれているようなこのブログを参照して下さい。この暴力団のマネロンに関連して、韓国の国民銀行東京支店が業務停止を受けたのが昨年でした。日経のこの記事がそのことを意味していたようです。日韓問題にもつながりかねないので、マスコミの報道は抑制気味だったので、私も気づきませんでした。しかし、こういう不正に手を貸す企業は社会的に批判し、関連企業(某有名メーカ関係者がこの問題に関係していたとの指摘もありますね)の不買運動をするぐらいの国民の監視が必要ですな。
- 先週産経新聞の大阪版夕刊に暴力団課税の問題点として私の次のコメントが掲載されました。
三木義一青山学院大教授(税法)の話「サークル活動など、任意団体が運営経費として集めた金は課税されない。暴力団の上納金も同じ理屈で、これまで非課税となっていた。ただし、上納金の私的流用が確認できた場合には個人の所得として課税できる。今回は資金の流れを十分に調査できたということだろう。今回の立件で、暴力団側も警戒を強めることが予想され、今後も摘発に有効に機能するかどうかは未知数だ」
私の表現は、少し慎重に述べたせいか、暴力団を課税で追い詰めるべきことを要請している日弁連民暴対策部の方から反論がありました。上納金をサークル活動の運営費と同じという説明に対する反論として、曰く。
「しかしながら、そのためには集めた上納金が厳密に運営費として支出されていることの証明が必要であり、今回の工藤会のように、自由に個人的支出に充てられるような実態がある以上、そのような反論は成り立たないのではないでしょうか」。もし、運営費の議論が正しいなら、工藤会の組長は、横領又は背任になると思いますが、誰も、そんなことは考えていないと思います。上納金の使途及びシステム等についての実態を確認したうえでの議論が不可欠なように思います。 |
なるほど。確かに一理ありますね。ただ、このような論理を暴力団に対してのみ使うのか、それともグループ活動一般に使うのか、検討が必要になりそうな気がします。もし、後者だと、グループ活動の会費を集めている人は、当該会費を収入に入れて、運営費に充てたものに限って控除し、差額を個人所得として申告することを求めなければならなくなります。もし、暴力団に対してのみだとすると、一定の要件を満たしたグループについては、個人の収入とみなす規定を設けて課税すべきですね。後者の方が現実的かな。ですから、暴対法などで課税についての特別規定を設けるべきでしょうね。