平成30年2月23日衆議院予算委員会第三分科会で、本田太郎(自民党)議員が、政府に質問。
○本田分科員 ありがとうございます。
次に、税関においては、迅速で円滑な通関を実現するとともに、水際での取締りをしっかりと行うことも同様に重要だと認識をしております。
来年のラグビーワールドカップや二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、訪日外国人の観光客のさらなる増加も見込まれる中で、こうした人の流れとともに、薬物などのいわゆる社会悪物品や金などの密輸をしっかりと防ぐ必要もあります。
特に、最近報道などでもよく取り上げられていますが、我が国において消費税脱税を目的とした金の密輸が急増しております。従前から、飛行機による金の密輸が全体の多くを占めておりましたが、これに加えて、最近ではクルーズ船による密輸や商業貨物による密輸が増加しておりまして、さらに、航空機やクルーズ船の乗組員や添乗員による密輸、また、洋上での取引を行う手口も見られるようになってきており、その規模も大口の密輸の摘発が多発しているとお聞きをしております。
このような事態に対処するため、財務省においては、昨年十一月、税関における金密輸への対応策を取りまとめましたストップ金密輸緊急対策を発表されました。密輸を通じて得られた利益は犯罪組織に流れている可能性があると指摘されておりまして、金の密輸に対しては厳格に対処していく必要があると考えております。
金の密輸対策についての政府の決意を伺いたいと思います。○飯塚政府参考人 お答え申し上げます。
金の密輸入を取り巻く情勢は深刻さを増しておりまして、平成二十八年に全国の税関が摘発した金の密輸入事件は八百十一件と過去最高を記録し、また、昨年、平成二十九年には一千件を超える見込みでございます。
しかしながら、税関が摘発した金の密輸入は、残念ながら氷山の一角であると言わざるを得ません。相当程度の利益が犯罪組織に流れているおそれがあるというふうに考えております。
このような状況を踏まえまして、財務省では、これまでにない広範で厳格な密輸取締りが必要であるとの考えのもと、緊急かつ抜本的な対策を早急に実施するために、先ほども先生おっしゃいましたストップ金密輸緊急対策を昨年十一月に策定し、公表したところでございます。
その内容でございますが、第一の柱として検査の強化、第二の柱として処罰の強化、第三の柱として情報収集及び分析の充実に取り組むこととし、このほか、広報の充実、体制の強化などを行うこととしております。このうち、処罰の強化につきましては、関連する改正法案を今次国会に提出させていただいているところでございます。
この対策に基づきまして、税関では、関係省庁と連携しながら、金密輸に対する一層厳格な取締りを着実に実施してまいりたいと考えております。
○本田分科員 ありがとうございます。
御答弁いただきましたように、税関においては迅速な通関と厳格な取締りをしていただく必要が極めて高いわけでありますが、それと同時に、訪日外国人観光客をたくさん受け入れるという観点からは、迅速な通関も大変大切なわけでありまして、厳格な水際対策と迅速な通関を両立するためには、人員の増加はもちろんでありますけれども、同時に検査機器を有効に活用することも重要であると考えております。
そこでお尋ねをいたしますが、平成三十年度予算における取締り検査機器の措置状況はどのようになっていますでしょうか。○飯塚政府参考人 お答え申し上げます。
税関におきましては、これまでにおいても、迅速な通関と厳格な水際での取締りを両立させるために、エックス線検査装置などの取締り検査機器を整備してきたところでございます。
平成三十年度の税関に関する予算案におきましても、例えば、エックス線検査装置を合計十九台、計約一億六千万円や、いわゆるTDSと呼ばれる不正薬物・爆発物探知装置、これが三台で約一億三千万円、こういったものを計上するなど、取締り検査機器の整備に必要な経費を計上させていただいているところでございます。
今後とも、厳しい財政事情のもとではございますが、取締り検査機器など、体制整備を行ってまいりたいというふうに考えております。