参議院予算委員会 平成30年01月31日で、小川議員と首相のエンゲル係数を巡るやりとり。
○小川敏夫君 民進党・新緑風会の小川敏夫でございます。
まず、安倍総理にお尋ねいたしますが、アベノミクス、五年たちました。(資料提示)実質賃金、そのアベノミクスが始まってから大体五ポイントぐらい下がっています。足下で微増していますが、下がっている状態には変わりない。あるいは、家計調査の消費支出も落ち込んでいる。生活の豊かさを示すエンゲル係数は顕著に上がっているという状況でありまして、こうした統計から明らかに言えることは、アベノミクスによって国民生活は苦しくなったというふうになっておりますが、この点について、まず総理の所感をお伺いいたします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) アベノミクスにより、政権交代後、極めて短い期間でデフレではないという状況をつくり出す中、国民生活にとって最も大切な雇用は大きく改善しており、全国津々浦々で確実に経済の好循環が生まれています。
実質賃金については、二〇一六年に前年比プラスとなった後、二〇一七年に入ってからおおむね横ばいで推移をしております。
また、名目賃金で見れば、賃上げは中小企業を含め今世紀に入って最も高い水準の賃上げが四年連続で実現し、多くの企業で四年連続のベースアップを実施しています。パートで働く方々の時給は統計開始以来最高の水準となっており、最近では二%以上の増加となっています。正規の方、非正規の方、それぞれで所得環境に改善が見られ、二〇一四年春以降増加傾向にあるわけでありまして、名目賃金で見ますと、推移で見ますと、我々、政権交代前の民主党政権時代ではマイナスであったものが、安倍政権下ではプラスとなっております。
さらに、雇用者数の増加を加味した国民みんなの稼ぎである総雇用者所得を見ると、名目で見ても実質で見ても、二〇一五年七月以降、前年比プラスが続いています。
税や社会保障負担等を差し引いた家計の可処分所得も、名目でございますが、雇用・所得環境の改善等を背景に三年連続で増加をしています。
そして、そこでお示しの世帯当たりの消費を捉える家計消費は、世帯人員の減少などから長期的に減少傾向となっています。国全体、一国全体の消費を捉えるGDPベースでは二〇一五年度、二〇一六年度と二年連続で増加となっております。
また、このエンゲル係数についてでありますが、二人以上の世帯のエンゲル係数は二〇〇五年を底に上昇傾向にありますが、これは物価変動のほか、食生活や生活スタイルの変化が含まれているものと思います。
いずれにせよ、アベノミクスを通じて経済の好循環を加速させていきたいと思っておりますし、やはり一番大切なことは、ちゃんと働く場があってみんなが仕事に就けるという状況ではないかと思うわけでありますが、昨日発表されました有効求人倍率を見ますと一・五九でございまして、これ四十三年と十一か月ぶりの高い水準となっておりますし、正規の雇用については一・〇七となっておりまして、これは統計開始以来最高の数値となっていると承知をしております。
○小川敏夫君 安倍総理ね、いつもの決まり文句の話で、結局、良くなった良くなったと言うんだけれども、しかし、国が行った統計調査ではっきり生活は悪くなっているということが出ているんですよ。
例えば、生活実感を一番表すエンゲル係数。総務大臣、このエンゲル係数、あるいはこのエンゲル係数を調査している意義について御説明いただけませんでしょうか。
○国務大臣(野田聖子君) お答えいたします。
エンゲル係数は、消費支出に占める食料費の割合、国民の消費生活の現状を示す一つの指標となっています。世帯における消費や収入など家計収支の実態を毎月明らかにするために、総務省では家計調査を毎月実施しているところです。この家計調査において、一世帯当たり食料の金額を消費支出の金額で割ることによりエンゲル係数を把握しています。
総理も今お答えになりましたけれども、エンゲル係数につきましては、御指摘のように豊かさということもありますけれども、経年変化の中には、物価変動だけではなくて、例えば共働き世帯が増えると、調理食品、いわゆる価格の高いものを購入したりとか、また高齢世帯が増えますと、おのずと食料費以外の支出が減少するということでエンゲル係数は上昇すると、様々考えられています。
平成二十八年のエンゲル係数が上昇した背景というのは、生鮮食品の価格高騰などの物価上昇がありましたし、また今申し上げたような調理食品や飲料、乳卵類などの食料への支出志向が高まっているということが考えられています。
ちなみに、二十九年のエンゲル係数は、最新の暫定値では二五・七%と、前年に比べ〇・一ポイント下がっているところです。
以上です。○小川敏夫君 何かいろいろエンゲル係数が上がっていることの弁解ばかり聞いたような感じがしますが。
このエンゲル係数というのは特別な数値ではなくて、言わば生活の豊かさを示す、世界で使っている共通の指標だと思うんですが、食生活の変化、生活様式の変化といっても、それはもう何もここ安倍政権になってから変わったんじゃなくて、ずっと長い間の変化があるわけでありますが、エンゲル係数はアベノミクスが始まってから上がっている。やはりこれ国民が、政府が生活豊かになった、景気良くなったよと言いながら、国民が豊かになった実感を持たないという声を聞きますが、まさにその声が裏付けられているじゃないですか、国の調査によってですね。生活は、国民の生活は苦しくなっているんです。
安倍総理は、もう聞くたびに都合のいい数字をあっちから引っ張りこっちから引っ張り、あるいは実質と名目を、いろいろ都合のいい数字を常々引っ張りますけれども、でも、安倍総理、もう厳然たる事実ですよ。国が行った調査でエンゲル係数が上がっている、国民の生活は苦しくなっている。これがアベノミクスのこの実質じゃないですか。
もう一度お答えください。○内閣総理大臣(安倍晋三君) 厳然たる事実は、先ほど申し上げましたように、これ小川先生とはもうずっと安倍政権が誕生して以来、いつもこの議論をさせていただいております。
小川先生が出しておられる数値もそれはもちろんファクトでございますが、しかし厳然たる事実の一つは、やはり働く場所があるということだろうと思います。それもやはり、有効求人倍率というのは一人の求職者に対して何人分の職があるかということでありまして、まさに働きたい人に一人分の仕事があるということこそ私は真っ当な社会だと思っております。
特に正規の有効求人倍率が一を超えたというのは史上初めてのことでありますし、四十七全ての都道府県において一倍を超えた、これは高度経済成長期にも、あるいはバブル期にもなかったことでありまして、それはやはりこの景気回復の波が全国津々浦々に及んでいるということであります。
しかし同時に、今、小川委員が挙げられた数値も事実でございますから、そうした分析について先ほど私の方からお話をさせていただいたところでございまして、景気回復期にはパートで働く方々が新たに仕事に、パートとしてスタートするわけでございます。その関係から、実質賃金、また消費税も上げましたし、安倍政権になってデフレが止まって物価が上昇し始めたということで、それが名目賃金に影響しているわけでございますが、大切なことは、みんなの稼ぎである総雇用者所得は確実に上がっているということではないかと、このように思います。