〔同族経営の底力〕/1 日本企業の96%=編集部/相山豊
2019.04.16 エコノミスト 2頁 第97巻 第16号 通巻4597号 38~39頁
日本は、同族企業大国だ。国税庁の会社標本調査(2018年度)によると、日本で活動中の会社(単体法人)の96.3%は同族企業で、256万1133社に上る。特に、資本金1億円以下の中小企業では9割を超え、1億円超の企業でも約半数を占めている。
お家騒動や独裁的な経営など負のイメージを持たれがちな同族企業だが、長期的に見ると非同族企業より業績が良いとの研究もある。
米アメリカン大学のロナルド・アンダーソン教授らが03年に発表した論文では、米S&P500株価指数を構成する企業の3割が同族企業で、その総資産利益率(ROA)は非同族よりも高いことが示されている。京都産業大学の沈政郁准教授らも15年、日本の上場企業を1962年から2000年にわたって分析し、同族の方がROAが高い傾向があるとの結果を発表した。
日本経済を支える同族企業の潜在力が引き出され、成長すれば経済の活性化につながりうる。その鍵となる強みや継承のあり方などを連載で探る。
(編集部、相山豊・永田町ファミリーオフィス代表)