企業が発行したポイントを利用者が別のポイントに交換する際、企業間で発生する資金の移動が消費税の課税対象となる「対価」に当たるかが争われた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(西川知一郎裁判長)が「無償取引に該当し、課税対象とならない」として、原告企業の訴えを認めて国側に逆転敗訴を言い渡し、確定したことが分かった。確定は14日付。
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原告側代理人によると、同様の訴訟は全国初。消費税の在り方を正面から判断した珍しい判例という。
原告は、大阪市にある交通系ICカード「PiTaPa(ピタパ)」の運営事業者。同社のポイントは、鉄道利用などでたまり、1カ月分の料金を後払いする際に割り引かれる仕組みだが、航空会社のマイルなど提携する11法人の別のポイントからも交換できる。利用者が交換を申請すると、同社のポイントが利用者に付与された後、提携法人が10ポイント当たり1円の資金を同社に支払う。
原告側は「ポイント還元のための実費。経済的利益ではない」として、課税対象外と主張したが、国側は「ポイント付与という役務の提供を条件とする対価」と反論。2019年の一審大阪地裁判決は原告の訴えを退けた。
大阪高裁の西川裁判長は今年9月29日、同社が提携法人から得るのはポイントと同等の金額のみで、手数料などの報酬が発生しないことから、「ポイント還元の原資としての性格を有するにすぎない」と判断し、原告の訴えを認めた。
国側は上告を断念し、判決が確定。11~15年度のポイント交換の際に掛けられた消費税は同社に還付される。
大阪国税局の萩尾大介・国税広報広聴室長の話 適正と考えて課税処分したが、主張が認められず残念だ。