〔WORLD・WATCH〕メキシコ 新大統領が就任 広がる期待と懸念=岩田理
エコノミスト2018.12.25(第96巻 第50号 通巻4581号 66~68頁)
12月1日、第58代メキシコ大統領にロペスオブラドール氏(通称アムロ氏)が就任。就任セレモニーでは新時代の幕開けとなるアムロ氏を一目見ようと、多くの民衆が駆け付けた。就任演説では、汚職撲滅を主要政策として掲げ、他にもガソリン価格の値下げや貧困者層への医療無償化など大衆受けのよい言葉が並んだ。
一方で、その政治手法については、すでに批判が出始めている。アムロ氏は、ペニャニエト前政権が多額の費用を投じて進めてきたメキシコシティー国際空港建設の計画について、税金の無駄遣いとして中止を訴え、法的根拠のない大衆意見公募を実施。結果として7割がこの意見に賛同し、建設は中止になる見込みだ。大衆の意見一つでこれまでの企業活動が覆されることに、メキシコ産業界は激しく反発している。
さらに、アムロ氏の所属政党である与党の国家再生運動(Morena)は11月8日、銀行手数料の徴収禁止の政令案を発議。メキシコでは手数料が銀行収入の3分の1を占めていることもあり、銀行株が売られる展開となった。これに伴ってメキシコ・ペソ安も進行。政策金利は2009年1月以来となる8%に引き上げられ、各ローン金利も上昇することから民間消費は冷え込むことが予想される。公的債務を増やさないと明言しているものの、歳出がかさむ公約をどう実行していくのか、今後も注視する必要がありそうだ。
(岩田理・JETROメキシコ事務所)
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左派大統領の誕生ですが、政策はバラマキ財政になるので、この後どうなるんでしょうね。