バーレーンでも財政再建のために導入するそうです。
〔WORLD・WATCH〕バーレーン 周辺国からの支援と新税で財政危機に対応=中田悠治
エコノミスト第96巻 第44号 2018.11.13号バーレーン国際空港に降り立ち、車に乗ればすぐに市内の街並みが現れる。飲酒も可能で、イスラムの戒律にも比較的寛容であるため、週末には隣国サウジアラビアから橋を渡って多くの人が詰めかける。ただし、人口140万人のこの島国は、財政赤字に頭を悩ませている。今年4月に大規模油ガス田の発見が発表されたことは記憶に新しいが、増え続ける国家借り入れのニーズと外貨準備の減少が相まって格付けが引き下げられている。1930年代に湾岸地域で初めて原油を生産し始めたものの、他の湾岸諸国と比べて原油・ガスの生産量が少なく、輸入額が輸出額を大きく上回っているからだ。
しかしながら、財政改善への布石は着実に打っているようだ。湾岸諸国ではアラブ首長国連邦(UAE)とサウジがいち早くVAT(付加価値税)を導入していたが、バーレーンでも2019年1月から5%のVATを導入する法案が通過した。財政赤字の縮小が見込まれる。また、時を同じくして、財政健全策を制定することと引き換えに、UAE、サウジ、クウェートから今後5年間で100億ドル(1・1兆円)の追加支援を引き出すことに成功し、当面の債務返済の危機から免れた。
かつて、中東のオアシスとして繁栄し、多くの日本企業も拠点を置いていたバーレーンは、再び外国企業の進出拠点として栄華を誇ることができるのだろうか。
(中田悠治・国際協力銀行ドバイ駐在員事務所駐在員)