***************(以下は19年1月22日)******************************しら
水野和夫共同代表が次のようなコメントを出されています。
〔特集〕騒乱相場 バブルでしか成長できない世界経済=水野和夫
2019.01.22 エコノミスト 第97巻 第3号 18~20頁年末から年始にかけて米国発の世界同時株安は、リーマン・ショック後に日米欧が進めた金融緩和に伴う巨大なバブル崩壊の始まりだ。
ゼロ金利や中央銀行が国債などの資産を民間から買い取って資金を供給する量的緩和を通じて、バブルを作り出さなければ、もはや経済成長できない世界に突入している。
しかし、バブルは必ず崩壊して、企業倒産や巨額の不良債権を発生させ、国民経済に大きな傷痕を残す。だからこそ、バブルを発生させてはいけないという教訓が、1990年代初めの日本の不動産・株バブル崩壊であり、2008年のリーマン・ショックだった。
この教訓を生かせずに、10年もの間、日米欧の主要国で金融緩和を続け、リーマン・ショック前を超える水準にまで債務を積み上げて作り出した巨大バブル崩壊のインパクトは私の想像を超える。これまでのバブル崩壊後に共通する低成長あるいは、マイナス成長を覚悟する必要がある。
日米ともに、今年は戦後最長の景気拡大を迎えるというが、経済成長(実質GDP〈国内総生産〉の拡大)が国民を豊かで、幸せにしているのかを考える時だ。特に日本のような成熟した経済社会で、政府が目指す名目3%成長にどんな意味があるのか。この間の実質賃金はマイナスで、国民は貧しくなっている。
無理な成長を求めるあまり、金融緩和でバブルを作り出し、その崩壊後、格差拡大を招き、ますます国民が貧しくなるような政策はとるべきではない。ゼロ成長を甘受して持続可能な社会の構築を日本は率先して目指すべきだ。
それには危機的な財政を再建し、早くプライマリーバランス(基礎的財政収支)を均衡させ、黒字化を目指すことだ。そのための一つが消費増税なのだから、少しくらいの景気の落ち込みはやむを得ない。
(水野和夫・法政大学教授)