UAE 付加価値税を導入 多くの企業は初納税
2018.07.10 エコノミスト 3頁 第96巻 第27号 通巻4558号 60~62頁
アラブ首長国連邦(UAE)で、日本の消費税に相当する付加価値税(VAT)が導入されてから半年が過ぎた。 VATは、湾岸協力会議(GCC)諸国で導入が合意されたもので、税率は5%。1月に、UAEとサウジアラビアで先行導入した。
UAEでは医療・教育などの除外品目を除き、登録企業によりUAE国内で提供される商品・サービスに5%が課税される。課税する企業は、連邦租税庁に「VAT事業者」として登録する。年間売上高37万5000ディルハム(約1120万円)以上の企業については、原則として登録が義務づけられ、18万7500ディルハム(約560万円)以上37万5000ディルハム未満の企業については、任意登録とされている。登録していない事業者は自社の売り上げにVATをかける必要はないが、仕入れにかかるVATの還付は受けられない。任意登録企業はメリットに応じて登録要否を判断することとなる。UAEでは、石油関連企業など限られた企業にしか法人税がかからない。多くの企業が初めての納税となるため、社内体制の構築等に手間取るケースも見られた。
導入による消費市場や景気への影響がいつまで続くかが懸念される。ドバイ商工会議所は、消費の落ち込みは年内の早い段階で回復すると自信を見せている。例えば、新車販売台数は1~3月、メーカーによって10~30%下落したものの、4~6月は売り上げが回復していると報じられている。個別商品への影響には引き続き注視する必要がある。
(山本和美・JETROドバイ事務所)