読売の記事です(8月20日)
経済産業省は19日、多国籍企業による「課税逃れ」の防止に向けた提言書を発表した。海外企業の日本法人が意図的に日本での課税対象額を減らせないようにする具体策などを盛り込んだ。国内での税制改正や、国際課税の新ルール導入に向けた議論に反映させることを目指す。
米巨大IT企業などは、自身が持つ商標権や顧客データを日本法人が使う対価として使用料を受け取っている。この使用料は必要経費として計上できるため、この金額を過大に見積もれば、課税対象額が減って日本法人の納税額も少なくて済むという問題が指摘されていた。
提言書では、日本法人がこの必要経費として計上できる金額に上限を設けるように提案した。同様の制度は米国で導入されており、それを参考に具体策の検討を進めていくように求めた。
提言書では、国内での法人設立から2年間、消費税の納税が免除される特例措置も取り上げた。海外企業が新しい日本法人を2年ごとに作り、免税対象になり続けるといった悪用例が指摘されており、海外で一定の売上高がある企業を免税対象から外すなどの見直しを検討する案が出ている。
国際課税の新ルールを巡っては、経済協力開発機構(OECD)で協議が進む。7月には、世界共通の法人税の最低税率を15%以上にすることや、米IT大手などが対象となる「デジタル課税」の導入で約130か国・地域が大筋合意している。経産省は今年3月、大学教授や企業の経理担当者などをメンバーとする有識者会議を設置し、今回の提言書はその中間報告に当たる。