• 今朝の朝日等では、国会議員の所得の報告が報道されています。配当だけで十分生活ができる方がずいぶんいらっしゃることに、改めて金持ちの政治を実感します。
  • さて、この方たちは、政治資金をいろいろな方面からもらっています。この政治資金はどう課税されているのか、その歴史も踏まえて考えてみましょう。
  • 1992年11月03日のアエラに落合博実さんが「永田町「ノー税天国」の奇怪 政治家と国税当局の攻防15年 」というのを書かれています。この中で昭和41年以前の状況をこうまとめています。
    昭和41年以前は個人からの政治献金は贈与、会社からのものは一時所得として課税する建前になっていたが、申告してくる政治家などおらず、いい加減なものだった。田中彰治代議士の脱税が分かってきれいごとではすまなくなり、今の形に変えた」(政治家課税の改革に取り組んだ当時の国税庁所得税課長)

 つまり、贈与か一時所得だったわけです。そうすると、把握できれば、収入の大半が課税されることになります。しかし、その反面申告もされない。そこで、申告を促すために、所得税の雑所得として課税することを検討したわけです。しかし、雑所得ですと、収入金額から必要経費を引くことになり、政治資金は純粋な寄付ではなく、何かをするためにもらうものになりますから、賄賂と政治献金の境界があいまいになります。当時の泉美之松国税庁長官も当初は、「政治献金に必要経費を認めることは税務上のコペルニクス的転回だ」として反対したそうですが、「なんとかセンセイ方に申告してもらわないと」という切羽詰った事情から決断して、国会で次のような答弁をしています。

従来とかく政治家の方が、個人、法人か ら政治献金を受けられる場合、法人から受けたも のは、これは一時所得だ、あるいは個人から受け たものは、これは贈与だという観念が強く支配し ておられたと思うのであります。しかし、よく考 えてみますと、個人、法人から献金される中には、 純粋な意味で一時の所得あるいは贈与と見るべ きものもございましょうけれども、しかし、そう いった献金に伴って、人的役務の提供を要する場 合も相当あるだろう。そうした人的役務の提供を 伴う場合には、これは雑所得である、このように 考えまして、従来の考え方を明確にする意味で原 則としては雑所得になります、しかし、一時所得 あるいは純粋の贈与というべき性質のものもあ ることはあります、こういう意味で申し上げたの であります。(昭 和 42 年 5 月 6 日参議院予算委員会)
  • こうして、申告をしてもらうために雑所得にして、必要経費を認めました。しかも、必要経費はその立証があって、経費として認められるものですが、政治家個人が受け取った政治資金については、もらった残りがあった部分を雑所得として課税したようで、かなり甘かったようです。しかも政治家もさるもの、正直に申告してくる政治家は皆無に近く、それどころか、なんでもかんでも政治活動に使ったことにして経費をふくらませ、議員歳費と損益通算をして還付申告をしてくる強心臓組が続出したそうです。あわてた国税庁は昭和43年から「雑所得は他の所得との損益通算を認めない」ように改正したのです。これが、雑所得では損益通算ができない、本当の理由です。
  • 政治資金課税の問題点については、権 田 和 雄「政治献金等収入と課税-国会議員及び公設秘書の受領した政治献金等に係る税法上の問題-」が税法の観点から詳しく検討しているので、さらに勉強したい方は一読して下さい。