豚肉輸入にまつわる差額関税制度は多くの問題を内包しているようです。

まずは、輸入価額を偽ることで多額の脱税が可能。名古屋地裁平成23年5月24日判決は下記のように述べています。

本件は,外国産豚肉の輸入販売等を営む被告人が,いずれも食肉の輸入販売等を営む会社の役員である共犯者らと共謀し,あるいは単独で,関税定率法の定める分岐点価格以下で輸入を行うと高額の関税が課されるいわゆる差額関税制度がとられている豚部分肉をチリ共和国から輸入するに当たり,実際には分岐点価格よりも低い価格で取引していながら,共犯者らの経営する会社やペーパーカンパニーを輸入名義人とし,関税が最も低額となる分岐点価格付近まで水増しした内容虚偽の輸入申告を行って関税をほ脱した関税法違反の事案である。
 本件各犯行によるほ脱税額の合計は45億3966万円余りと巨額である。ほ脱率も89パーセントを超えており,国家の租税債権を著しく侵害した結果は重大である。また,約1年1か月の間に,複数のルートを使い,合計684回にわたって犯行を繰り返している上,パッカーと呼ばれる輸出業者との間では内容虚偽の輸入申告価格で一旦決済し,これと実際の契約価格との差額を別のルートを介した取引の精算金として用いたり,脱税の発覚を防ぐために複数の協力会社やペーパーカンパニーを介在させるなど,その手口は組織的かつ巧妙である。
 被告人は,このような大規模な脱税システムを取り仕切っていた上,自ら又は他の者に指示して,パッカーに対する加工技術の指導や契約交渉,パッカーが求める銀行から信用状の発行を受けられる信用ある会社への輸入代行の依頼等を行うなど主導的な役割を果たした。
 利欲目的での犯行動機に酌量の余地はない。得た利益も約2億5000万円と多額である。
 これらの事情からすれば,被告人の刑事責任は重いといわざるを得ない。したがって,ほ脱した本税のうち30万円余りを納付し,残額について年金等で分割払を行う予定である旨述べていること,反省の態度を示していること,前科がないこと,元妻が公判廷で将来被告人と同居する旨述べており元妻による監督が期待できることなど,被告人のために酌むべき事情を最大限に考慮しても,主文の懲役刑はやむを得ないところであり,罰金刑については被告人が得た利益やほ脱税額を含む事案の性質にかんがみ3億円とするのが相当と判断した。
(求刑―懲役3年及び罰金5億5000万円)

 さらに安い肉と高い肉を一緒に申請するコンビネーションも認められているようですが、どうなんでしょうかね