エコノミスト2017.09.26号(第95巻 第37号 通巻4518号 56~57頁)に森岡孝二による書評が掲載されていました。要点は以下のようなもの。

 13年3月に、日銀の黒田東彦総裁・岩田規久男副総裁体制がスタートした。彼らは2年をめどに、消費者物価上昇率を2%まで引き上げ、デフレから脱却し、GDP名目3%、実質2%の経済成長を達成すると公約した。しかし、その後の消費者物価上昇率はゼロかマイナスで、実質成長率は1%そこそこにとどまっている。これでは成功したとは言えない。

 政府・日銀は、目標達成に繰り返し失敗するなかで、その原因を、消費税増税後の需要の弱さ、原油価格の急落、新興国の経済の減速などの外的要因のせいにしてきた。

 その一方で、就業者の増加をもってアベノミクスの成果と言う。しかし、増えたのは短時間就業者である。そのうえ労働生産性はほとんど上昇していない。なのに企業は空前の利益を上げた。そのうえ増加した利益を従業員の賃金や設備投資のために使わずに、内部留保に回した。その結果、アベノミクスの開始以来、実質賃金はほぼ一貫して下がり続け、格差が広がっている。

 本書が説得的に述べているように、アベノミクスの失敗は誰の目にも明らかである。にもかかわらず安倍内閣は、最近になって二つの学園問題の紛糾で支持率が下がるまで、なぜ長らく高い支持率を得てきたのか。この疑問を掘り下げて、経済の裏にある政治の問題を考えるうえでも、鋭い切れ味の政策批判が売りの本書が参考になるだろう。

 まったく同感です。民主主義の弱さを感じます。